ダブルエイトノットとは?結び方・用途・強度・注意点を高所作業のプロが解説

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高所でロープに身体を預けて作業するとき、結び目の確認を「たぶん大丈夫」で済ませることはできません。

窓ガラス清掃をはじめとしたロープ高所作業では、ロープ、支点、カラビナなどの接続器具、ライフラインまで含めて安全な状態をつくります。
その中で使われる結び方のひとつが、ダブルエイトノット(double figure-of-eight on a bight)です。

本記事でいうダブルエイトノットは、2つのループを作る結び方です。
ロープアクセス技術者が身につける基本的な結びのひとつとして扱われています。

当社では、Yビレイをつくる際の片側、カラビナとの接続、支点側のロープ末端などで使用する場面があります。
ただし、ダブルエイトノットは「形だけ覚えれば使える結び」ではありません。

どのように結ぶのかだけでなく、結んだあとにどう整えるのか、ロープ強度がどの程度低下するのか、余長をどの程度確保するのか。
そして、その結び方が今つくろうとしているロープシステムに適しているのか。

高所作業では、そこまで確認して初めて実際の作業に使えます。

この記事では、ダブルエイトノットの結び方から用途、強度、注意点まで、実際にロープを使って高所作業を行う立場から解説します。

ダブルエイトノットとは?

ダブルエイトノット(double figure-of-eight on a bight)は、2つのループをつくることができる8の字系の結び方です。
この結びを単に「結べる」だけではなく、tying(結ぶ)、dressing(整える)、setting(締めてセットする)ことができます。
ここは高所作業で非常に大切な部分です。

見た目だけそれらしい結び目になっていても、それで完成とは考えません。

ロープが正しい位置を通っているか。
途中で余計なねじれや交差がないか。
各ストランドがきれいに並んでいるか。
十分に締められているか。

結んだあとの確認まで含めて、ひとつの作業です。

高所作業ではどんな場面で使う?

当社のロープ作業では、ダブルエイトノットをYビレイをつくる際の片側、カラビナとの接続、支点側のロープ末端などで使用することがあります。
結びを選ぶ際には、作業への適合性、想定される荷重のかかり方、結びによるロープ強度の低下、結びやすさ・解きやすさなどを考慮します。

現場が変われば、支点の位置もロープの取り回しも変わります。

だから重要なのは、結び方を知っていることではなく、その場所でなぜその結びを使うのかを理解していることです。

ダブルエイトノットの結び方

ダブルエイトノットには、完成形に至るまでの手順があります。
基本的な流れは次のようになります。

STEP1 ロープを二重にして折り返す

まずロープを二重にし、必要な長さのバイト(折り返した部分)をつくります。
最終的には2つのループになるため、この段階で完成形を考えながら必要な長さを取ります。


STEP2 折り返した部分を一周させる

二重になったバイトを、立ち上がっているロープの周囲へ一周させます。
ここで8の字を構成する部分がつくられていきます。

STEP3 新しい折り返しをループへ通す

折り返し側にもう一つバイトをつくり、先ほど形成したループへ通します。


STEP4 元のバイトを返して2つのループをつくる

最初につくったバイトを結び目へかぶせるように返し、2つのループを形成します。


STEP5 形を整えて締める

最後に、ねじれや不要な交差を取り除きます。
2つのループだけを見て終わりではなく、結び目全体を確認しながら整え、均等に締めることが重要です。
※実際に身体を預ける高所作業で使用する場合は、記事や動画だけを見て実践するのではなく、適切な教育と実技訓練を受けたうえで使用してください。

「結べた」で終わらない。
ドレッシングが重要

ダブルエイトノットを覚えると、最初はどうしても「2つの輪ができたか」に目がいきます。
しかし、現場では完成した形だけを見ているわけではありません。

結び目の中でロープがきれいに並んでいるか。
余計なクロスがないか。
一部分だけ緩んでいないか。
それぞれが均等に締まっているか。

こうした状態を整えるのがドレッシング(dressing)です。
そして、結び方の種類だけでなく、どれだけ正確かつきれいに結ばれているかによってロープ強度の低下量も変わるとしています。

つまり、きれいに結ぶのは見栄えのためではありません。
正しく結ぶことそのものの一部です。

ダブルエイトノットを結ぶと
ロープの強度は落ちる?

これは必ず知っておきたいポイントです。
ロープは結び目をつくることで、本来のロープ強度より低下します。
「エイト系の結びだから強度が落ちない」ということではありません。
※IRATAのICOPでは、double figure-of-eight on the bight(bunny knot)の典型的な強度低下について、23〜39%という値が示されています。

この幅は、きれいに整えられた結びと、整え方が悪い結びとの差も含んだ値です。
ただし、「ダブルエイトノットなら必ず39%低下する」という意味ではありません。

強度低下は結びの種類と、どれだけ正確かつきれいに結ばれているかによって変わります。
また、この23〜39%という数字だけを使って「このロープなら○kgまで大丈夫」と単純計算するものでもありません。
高所作業では、使用するロープや器具の仕様、支点、システム全体を確認して判断します。

ロープの余長はどれくらい残す?

結び目が正しくできていても、ロープの末端が極端に短ければ確認が必要です。
結びをセットしたあと、すべての結び目の末端を少なくとも100mm残すことを示しています。

100mm、つまり10cmです。

ただし、これも「10cm残っていれば、どんな状況でも問題ない」という意味ではありません。
使用しているロープ、結び方、器具、作業手順を確認することが前提です。
数字だけを暗記するのではなく、なぜ余長を確認するのかまで理解しておくことが大切です。

ダブルエイトノットで
確認したいポイント

実際に結んだあと、私たちが大切にしているのは「完成したから終わり」にしないことです。

特に確認したいのは、

  • 2つのループが意図した状態になっているか
  • ロープに不要なねじれや交差がないか
  • 結び目がきれいにドレッシングされているか
  • 各部分が十分に締められているか
  • ロープ末端の余長が確保されているか
  • カラビナなどの接続器具との接続状態に問題がないか
  • その結びが今回の支点・荷重方向・作業方法に適しているか

という部分です。

中でも注意したいのが、慣れによる確認不足です。

最初に結び方を覚えた頃は、誰でも何度も見直します。
ところが毎日のようにロープを扱うようになると、「いつもやっているから」という感覚が出てきます。
しかし、結び方が同じでも現場は毎回同じではありません。
支点も違えば、ロープの取り回しも違います。
だからこそ、慣れている結びほど、荷重をかける前にもう一度見る。
高所作業では、この確認を省略しないことが重要です。

ダブルエイトノットだけで
高所作業の安全はつくれない

ロープワークの記事では「どんな結び方を使うか」が注目されがちです。
しかし、安全を支えているのは結び目ひとつではありません。

日本の労働安全衛生規則では、ロープ高所作業を行う場合、身体保持器具を取り付けるメインロープとは別にライフラインを設けることが定められています。

また、メインロープ、ライフライン、緊結具、身体保持器具、接続器具について、十分な強度があり、著しい損傷・摩耗・変形・腐食がないものを使用することも求められています。

さらに作業開始前には、メインロープ等の状態を点検し、異常があれば補修または交換する必要があります。
つまり、支点・ロープ・結び目・接続器具・身体保持器具・ライフライン・ロープの保護・作業前点検これらを一つのシステムとして考える必要があります。

どれだけきれいなダブルエイトノットを結べても、それだけで高所作業が安全になるわけではありません。

記事や動画だけで覚えて、
そのまま高所で使わない

ダブルエイトノットは、写真や動画を見ると「自分でも結べそう」と感じるかもしれません。
しかし、結び目の形を再現できることと、人の身体を預けるロープシステムの中で安全に使用できることは別です。

日本では、ロープ高所作業に従事する労働者に対する特別教育が定められています。

その内容には、ロープ高所作業の方法だけでなく、メインロープ等の種類・構造・強度・取扱方法、点検・整備、墜落防止措置などが含まれ、実技教育も必要です。

結び方だけを切り取って覚えるのではなく、「どこに使うのか」「どのように荷重されるのか」「何を確認するのか」まで理解する。それが高所作業でロープを扱うときの基本です。

当社が高所作業で
大切にしていること

当社では、高所での窓ガラス清掃などを行うため、安全に関する教育・講習を受講し、必要な資格を保有しています。

ロープ高所作業特別教育をはじめ、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育、足場の組立て等作業従事者特別教育、ゴンドラ取扱業務特別教育、高所作業車運転技能講習、高所作業安全教育講習会、ブランコ作業安全教育講習会を受講し、足場の組立て等作業主任者の資格も保有しています。

ただ、教育を受けたり資格を取得したりしたから、確認を省略していいわけではありません。
ダブルエイトノットも同じです。
結べることと、安全に使えることは別。

現場では、その違いを曖昧にしないことが重要だと考えています。

まとめ|大切なのは「結べる」
ではなく「正しく使える」こと

ダブルエイトノットは、2つのループをつくることができる結び方です。
ただし、形だけ覚えて終わりではありません。

正しく結ぶ。
きれいに整える。
十分に締める。
余長を見る。
接続を見る。
支点を見る。
ロープを見る。
荷重をかける前にもう一度確認する。

ロープ高所作業では、この一つひとつが欠かせません。

何度結んだことがあるかではなく、その都度、正しい状態になっているかを確認できるか。
ダブルエイトノットを使ううえで、私たちが最も大切にしているのはそこです。


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