2026/10/07
介護施設や老人ホームの大浴場で、
「床が濡れると滑る」
「毎日掃除しているのに、以前より滑りやすく感じる」
「利用者が転倒しないか心配」
「入浴介助をしている職員から滑るという声が出ている」
このような状態を、そのままにしていないでしょうか。
浴室はもともと、水や石けんを使用する場所です。
厚生労働省も、介護施設の浴室では濡れた床で足を滑らせる転倒が発生していることを示しており、介護事業者向けの転倒災害防止資料では、浴室などの水場で滑るケースへの対策として、防滑性のある床への対応や滑りにくい履物などを挙げています。
特に注意したいのは、滑る床が危険なのは利用者だけではないことです。
介助をする職員、浴室を清掃するスタッフも、同じ濡れた床の上を歩きます。
だから介護施設の浴室では、「転ばないように気をつける」だけでなく、床そのものの状態を確認することも大切です。
今回は、老人ホーム・介護施設の大浴場がなぜ滑りやすくなるのか、毎日清掃していても滑る理由、防滑施工を検討する前に確認したいことまで解説します。
介護施設の大浴場で
滑り対策が重要な理由
浴室では、
水で床が濡れる。
石けんやシャンプーを使う。
利用者が立ち座りする。
介助者が身体を支えながら移動する。
こうした動作が同じ場所で繰り返されます。
利用者自身が足を滑らせるケースだけでなく、介護職員がふらついたり転倒したことで利用者も転倒するケースもあります。
また、発生要因の一つとして「床の滑りやすさ」です。
つまり大浴場の床は、利用者の安全と介助する職員の安全の両方から考える必要があります。
浴室の滑りは、入浴している人だけの問題ではありません。
高齢者にとって
「少し滑る」を軽く考えない
若い人であれば、足を滑らせても反射的に踏ん張れることがあります。
一方、高齢者の転倒は大きなけがにつながる場合があります。
消費者庁が65歳以上の家庭内転倒事故を分析した資料では、寄せられた事故事例の8割以上で通院または入院が必要となり、骨折した高齢者では入院に至ったケースも多く確認されています。
これは介護施設だけを対象にした数字ではありませんが、高齢者の転倒を軽視できないことは分かります。
だからこそ、「今まで事故が起きていないから大丈夫」だけではなく、今、床がどのような状態なのかを見ることが重要です。
毎日清掃しているのに、
なぜ浴室の床が滑るのか
施設の担当者からすると、「毎日清掃しているのに、なぜ滑るの?」という疑問があると思います。
ここで大切なのは、見た目がきれいであることと、床の状態が同じとは限らないということです。
浴室では皮脂や石けんカスなどが発生します。
日常清掃をしていても、床の状態によっては汚れが残っている場合があります。
当社でも防滑の相談を受けたとき、最初から防滑施工をするとは限りません。
まず確認するのは、床の状態と、滑りの原因です。
表面に汚れが蓄積しているのであれば、まず洗浄してその汚れを除去します。
ライフクルーの防滑施工でも、いきなり防滑剤を施工するのではなく、床の汚れや滑りの原因を確認し、洗浄したうえで床本来の状態を見ることを基本としています。
ここを飛ばしてはいけません。
「防滑施工」ではなく
原因の確認
床が滑る。だからすぐ防滑施工。という順番ではありません。
最初に行いたいのは、なぜ滑っているのかを見ることです。
汚れによって滑っているのであれば、洗浄によって状態が改善する可能性があります。
反対に、しっかり洗浄して床の状態を確認しても、濡れたときの滑りやすさが気になるのであれば、その段階で防滑施工を検討します。
つまり、状態確認 → 洗浄 → 再確認 → 必要なら防滑施工という順番です。
これは、必要のない施工を最初から勧めないためにも大切です。
「滑る=すぐ施工」ではなく、まず床を見る。
防滑施工とは?
防滑施工は、水に濡れたときに滑りやすさが気になる床などに対して、滑りにくい状態をつくることを目的とした施工です。
介護施設だけでなく、大浴場、プール周辺、ロビーなど、床の滑りが問題になる場所で検討されます。
ただし、防滑施工をしたからといって、「絶対に転倒しない床になる」というものではありません。
浴室の安全対策には、床だけではなく、手すり・段差・水たまり・清掃状態・履物・介助方法なども関係します。
防滑施工は、浴室全体の安全対策の中の一つの方法として考えるのが適切です。
「滑らない床」ではなく
「滑りにくい状態」を作る
防滑施工について、ここは表現を間違えたくありません。
「防滑施工をすれば滑らなくなる」と断言することはできません。
床は濡れます。
石けんやシャンプーも使用します。
利用者の歩き方や身体状況もそれぞれです。
そのため目的は、完全に滑りをなくすことではなく、現在の床より滑りにくい状態をつくること。
そのうえで、日常清掃や水分管理、施設側の安全対策を続けます。
施工後も清掃が不要になるわけではありません。
浴室だからこそ、施工と日常管理を分けて考えないことが大切です。
防滑施工を
検討したいのはこんなとき
たとえば、
「床を歩いたときに以前より滑る感じがする」「利用者や職員から滑るという声が出ている」
「毎日清掃しているが滑りやすさが気になる」
「洗浄したあとも、濡れると滑りが気になる」
といった場合は、一度床の状態を確認する価値があります。
特に介護施設では、利用者だけでなく入浴介助・清掃を行う職員も同じ床を利用します。
事故が起きてから初めて考えるのではなく、「最近滑る気がする」という段階で一度確認する。
これも施設管理の一つだと思います。
高崎市の老人ホームでも
防滑施工を実施しました
実際に当社では、高崎市の老人ホームにある大浴場で、約50㎡のタイル床に防滑施工を行った事例があります。
介護施設の大浴場という、まさに今回解説している環境での施工です。
防滑施工を検討している施設管理者の方には、「実際の老人ホームではどのように施工したのか」を見ていただく方が分かりやすいと思います。
介護施設の防滑施工で
大切なのは「施工する前」
防滑施工というと、どうしても「何を塗るのか」「どう加工するのか」に目がいきます。
しかし、実際にはその前が重要です。
- 床は何で滑っているのか。
- 汚れは残っていないか。
- 洗浄したら状態は変わるのか。
- そのうえで防滑施工が必要なのか。
ここを確認せずに施工方法だけを選ぶことはおすすめできません。
洗浄で改善できるものなのか。
それとも、床そのものに防滑対策が必要なのか。
そこを分けて考える。
介護施設や老人ホームの大浴場だからこそ、最初から施工ありきではなく、現状確認から始めることが大切です。
まとめ|介護施設の大浴場は
「滑ってから」ではなく
「滑ると感じたとき」
介護施設や老人ホームの浴室は、水や石けんを使うため、床が滑りやすくなる条件があります。
そしてその床を利用するのは、高齢の利用者だけではありません。
入浴を介助する職員や、清掃をするスタッフも歩きます。
だから大浴場の滑り対策では、
まず床の状態を確認する。汚れていれば洗浄する。
洗浄後にもう一度確認する。
それでも滑りやすさが気になる場合に、防滑施工を検討する。
この順番が大切です。
防滑施工だけですべての転倒を防ぐことはできません。
だからこそ、床、手すり、段差、清掃、介助方法などを含めて、浴室全体の安全を考える必要があります。
もし、
「最近、大浴場の床が滑る」
「利用者や職員から滑ると言われている」
「清掃しても改善しているのか分からない」
という状態であれば、まず床の状態を確認するところから始めてみてください。